65話

「ケイさんに変わった様子はないかな?」


「はぁ?

変わった様子?

特にないにゃも☆」


「そっか…」


「それだけにゃも?」


「あー、うん」


「店に寄って行かないにゃも?」


「今日は〜…」


「莉蘭⁉︎」


言葉を遮るように、自分の名を呼ばれた。


後ろを振り返ると…



「ケッ、ケイさん⁉︎」


バッタリと会ってしまう。



「久しぶりじゃない。

お店に遊びに来たの?」



ケイは笑顔で言った。


「あっ、えーっと…」


莉蘭は言葉を選ぶように考える。



「ケイさん、おはようございますにゃも☆

莉蘭ちゃんがケイさんの事、聞いてきたんですよ!」


「ちょっと、あいにゃも☆さん⁉︎」


あいにゃも☆は隠すことなく。あっさりと喋った。


「なぁに、アタシのことって?」



「さぁー?様子がどうのこ「ワーワー‼︎あっ、あいにゃも☆さん、早く出勤して下さい!」」


言葉を遮り、従業員の出入り口に押し込んだ。



「ケイさん、何にもないので、気にしないで下さい!」


「そう…?

あっ、そういえば、莉蘭に食べてほしいスイーツがあるの!

お店によるわよねぇ?」


キラキラとした瞳で言われると、断れない。


「うっ…はい」


「ふふ、席を用意させるから、お店の入口から入ってね」


「はーい…」


ケイはいつもの調子で、従業員入口に入って行った。



「普段と変わらない…

やっぱり、あの日起きたことは覚えていないのかな…?」


(それだったら、都合がいい。


私も忘れよう。


凉太との関係を大事にしたいから。)



お店に入ると、ケイが待ち構えていた。


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