第53話

映画が終わり、莉蘭と凉太はレストランに入った。



席に着くと、2人でメニュー表を眺める。


「莉蘭、何食べる?」


「んー、あっ、パンケーキがいいなぁ!」


「こら、ちゃんとご飯を食べなさい」


「やだー!

今日は甘いものが食べたい気分なの」


「仕方ないなぁ、じゃあ、頼むな」


慣れた様子で注文をすると、凉太は莉蘭に視線を向けた。


「莉蘭、今日の映画、ちゃんと見てた?」


水を飲む手が止まる。


「え?

うっ、ん…見てたよ」


「僕が見る限り、今日の莉蘭はなんか、うわの空って感じだったから」


探るように凉太の視線が莉蘭を見つめる。



「そうかな?

映画楽しかったよ」


「…なら良いんだ」


「もう、変な凉ちゃん!」


取り繕うように笑った。


「…莉蘭に気になる人ができたんじゃないかって不安になったよ」


「はっ、はぁ⁉︎

私が凉ちゃんの事を一番好きって、凉ちゃんが一番分かってるじゃん!」


「あー、それもそうだったね」


「変なこと言わないでよね!

そう、私は凉ちゃんが1番なんだから…」


まるで自分にいい聞かせるように言った。

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