願望は実現した…けど…

第51話




ぽとっ…



ホットドックのケチャップが落ちた。



「莉蘭!」


「ー…」


「莉蘭、ケチャップが服についてるよ!」


「えっ⁉︎

あ、きゃー!

お気に入りの服がぁ!」


慌てふためく。


「莉蘭はおっちょこちょいだなぁ」


ハンカチで、莉蘭の服についたケチャップを拭く。


「凉ちゃん、ごめん!」


「いいんだよ、このくらい」



凉太は嫌がるそぶりを見せずに、笑った。


「んー、凉ちゃん、本当に素敵!

私の自慢の彼氏だね」


「急にそんなこと言って、何か企んでるのかなぁ?」


「えー、純粋に褒めたの!」


「嘘だよ。

有難う、嬉しいよ」


「ふふ、どう致しまして!」




なんて事ないカップルの会話。


でも、莉蘭の心は何故かざわめいていた。



それは、あの日のケイとのキスが頭から離れないでいたから。

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