第44話

「アタシね、小さい頃から女の人にちょっかいかけられたり、

ストーカーされたりしてたのよ。

だから、女性が苦手な時期があったの。

ストーカーされる度にアタシの周りの男が助けてくれたわ…

だから、助けてくれた男が素敵に見えて自然と恋愛関係に発展しちゃってたわぁ。

それから、色んな男にアタックされたから、流されるままに付き合ってたわねぇ」


「オネエ、モテるねー!

一番最高の彼氏はいた⁉︎」


「…みんなそれぞれ良かったかしらね…」


「じゃあ、女性はずっと対象じゃなかったんだ!」


「そうね…対象というか、女は何を考えてるか分からない、

怖いものだと思ってたから、接触をしなかったのよ…

今は違うわよ。

友だちもいるし…

でも、男の人はプレゼントだったり、素敵なデートに連れて行ってくれて、

いつも一生懸命に楽しませようとしてくれたわぁ。

あの時は毎日が宝石みたいにキラキラしてた…

夢のようだったわぁ」


「ちょっと、オネエ、心が女ー!

言うことが、かわいいよね。

周りがほっとかないわけだぁ!」


「へー、ケイさんの恋愛話って初めて聞きました」


莉蘭は楽しげに頷いて聞いていた。


「なんか、莉蘭に言うのは恥ずかしいわね…」


「どうしてですか?

とっても素敵な話ですよ」


「そう…ふふっ」


ケイは照れを誤魔化すかのように、日本酒をごくごくと飲んだ。

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