第31話

「ごめんなさいね…

アタシ、何だか怖くって…何故か莉蘭に電話しちゃったわ」


「いいんですよ、ケイさん!

 むしろ、頼ってくれて嬉しいです!」


「莉蘭…有難う。

あら、友達も一緒だったのねぇ。

迷惑かけてごめんなさい。

お礼は必ずさせてもらうわね」


「いえ、迷惑じゃないです。

人の役に立つのは嬉しいですから。

それより、私、ケイさんって女の人だと思った…


こんなに綺麗な男の人を初めて見たよ!

これは…狙われるね」


眞帆はケイをつま先から頭上までじっくりと見た。



「やっ、やぁね、今、褒められても嬉しくないわぁ」


「あっ、初対面の方にすみません。

出口眞帆です。

宜しくお願いします」


「眞帆ちゃん、宜しくね」


「で、ケイさんを付け狙う怪しい人はどこですか?」


「あっ、あの、ほら、電柱にいるでしょ?

あの人が、店からずっとつけて来てるのよ!」


ケイの指差す方を見ると、確かに怪しい人影が電柱の影に隠れるように居た。



「うーん…確かに、ずっとこちらを見ていますね」


「うっわ!

なんか、クマの人形持ってる⁉︎

ちょう、怪しいね!」


眞帆が驚きの声を上げる。

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