第13話

ひたすら泣き続ける。


暫くして、凉太がシャワーから上がって来た。


「莉蘭…」



ベットにへたり込んでいる莉蘭に申し訳なさそうな小さな声で言った。


「凉ちゃ…ん…もう、私達、終わりなの?」


チラッと凉太の顔を見ながら、苦しげに言う。


「莉蘭!」


凉太は莉蘭を後ろから抱きしめる。


「凉ちゃん⁉︎」

「さっきはごめん…

僕は、莉蘭に言っていない事があるんだ」

「なっ、なにっ…?」


一体何を言われるのかと、恐怖で身体が硬直する。



「聞いてくれるかな?」

「うっ、うん」

「僕は女性としたことが無いんだ。」

「えっ⁉︎」


(”童貞”って…!?

嘘…

この引き締まった筋肉質の体の美ボディの凉ちゃんが!?)


目の前の恋人を呆然と見つめる。



「世間で言うと、“童貞”ということになるのかな…?

その、初めてだし、自信がなかった。

だから、そういう行為は無意識に避けていたんだ。」


「凉ちゃん…」


「恥ずかしくて言えなかった…

だから、莉蘭に酷い態度をとってしまったね…

ごめん」


「いっ、いいの!

凉ちゃん、カッコいいからそういう経験はもうしてるものと勝手に思ってた。

私もごめんなさい!

凉ちゃんの気持ちを無視して、自分勝手に振る舞っちゃって…

反省します」


「莉蘭…理解してくれてありがとう。

今日は腕枕で許してくれないかな?」


凉太は爽やかな笑顔でいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る