第5話

莉蘭は恥じらうように凉太を見つめると…



「ねぇ、凉ちゃん…この後…」

「莉蘭、久しぶりね」


ケイが莉蘭の座っている席に立つ。


「あっ、ケイさん‼︎」


オーナーであるケイが話しかけて来たので、莉蘭は言葉を飲み込まざるおえなかった。


「アンタ、今日は何しに来たの?」

「はい、今日はお祝いで、来ました!」

「全く…ここが好きすぎでしょ」

「はい!ここは私にとって大切な場所なんです!

だから、大好きです」


莉蘭はとびっきりの笑顔を向ける。

ケイはその笑顔に弱いのか、嬉しそうに笑う。


「そーなの、それなら良かったわね。

後でサービスしてあげる」

「えっ⁉︎ケイさん、本当に大好き!」

「ふふっ。

でぇ、この向かい合わせに座ってる素敵な男性は誰なの?」


ケイは何故か下を向いている凉太を見た。


「ん?

なんで、凉ちゃん下向いてるの?」


莉蘭は不思議そうに凉太を見つめる。


「や、その…」


凉太は気まずそうに小さな声で言う。


「ふふっ、恥ずかしいのかしら?」


ケイはクスリと綺麗な顔で笑う。


「凉ちゃん、どうしたの?

この人は、倉良圭人さん、ここのお店のオーナーなの!」

「へっ、へー、そうなんだね…。」


依然と下を向いている。

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