第68話
正門玄関前で、聖城と乙葉は学校を出る。
幸い、校内は人がもう居らず、聖城ファンの子には見られている気配はない。
乙葉は胸を撫で下ろす。
「どこに買いに行くんだ?」
「はい、駅前の文具店まで。」
「ふーん…いいよ。
歩いて行こう。」
「はい!」
「…。」
ニッコリ笑顔の乙葉に対して、聖城は僅かな笑みをこぼす。
無言で2人は歩く…
けど、決して無言の時間は嫌じゃない。
この、穏やかな瞬間を静かに感じたかった。
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