第60話

「さっ、遠慮しないでください!」


手を掴む。


「ちょ、おまえっ、まっ!」


聖城の静止も聞かず、手をグイグイ引く。


強引すぎる行動に、力で対抗しようともがく。


力のバランスが崩れ…


「ちょ!」


「きゃあっ⁈」


ドサッ!


2人派手にベットに転んでしまった。


「大丈夫か⁉︎」


「あっ、いたたっ…すみませっ?」


乙葉が目を開けると、聖城の顔が目の前にあった。

聖城も驚いて、乙葉の顔を凝視していた。



うう!美しい!

じゃなくて、ラッキーイベント!

じゃなくて、なんで聖城さんの顔が目と鼻の先にあるの‼︎


「聖城さん、大丈夫ですか⁈」


「あっ、ぁあ。

問題ない。

から、はっ、離れてくれ。」


狼狽えながら答える。


「やだ、私、聖城さんに引っ付いて…

失礼しました!」


「ああ。」



起きあがろうとしたとき、部屋のドアが開いた。


「乙葉ー、お茶菓子を持ってきたわ…

あら?」


母親はキョトンとした顔で、2人を見つめる。

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