第58話

「父がオーナーをしているお店の品物なんですが…どうぞ、お召し上がりください。」


「へー、お父様ねー…何かしら?」


ばっちりと箱の中身を見る。


「こっ、これは⁉︎

半年予約待ちの、フランスパティシエが作った伝説のスイーツじゃない‼︎まぁ、嬉しい!

有難うございます。」


母親はにっこりと笑った。


「喜んでいただけて嬉しいです。

また、乙葉さんとお出かけすることがあれば、今度は必ずご連絡致します。」


「まぁまぁ、乙葉なら、何時でも差し出しますわ。

好きにして下さい。」


「えっ?差し出す?」


聖城はびっくりして静止する。


母親らしからぬ、言葉のチョイスに、乙葉は失笑する。


「や、あら、いやだわぁ…

さ、乙葉、部屋にご案内したら?」


「うっ、うん!

聖城さん、私の部屋に行きましょう!」


「あっ、ああ…分かった。」


「後で、お茶菓子を持って行くわね〜。」



「はーい!」


乙葉と聖城は2階にある乙葉の部屋に向かう。



「お前の母親…変だな。」


「そうみたいです。

すみません、変なことばかり言って。」


「や、楽しいからいいよ。」


クスリと聖城は笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る