第51話

「たっ、楽しみだね、数年ぶりの聖城君の演奏。」


小室は引き攣った笑みをしていた。


「ー…。」


聖城は静かに椅子に座った。

そして、目を瞑り、一呼吸すると、鍵盤に指をのせる


観客は、ただ、静かに行方を見守っている。

会場は静寂に包まれた。


乙葉は辺りの言い知れぬ緊張に固唾を飲む。


ー…


革命ー


水が流れるような美しい音色が始まる


悲しく、切ないメロディー


怒りをも表す表現は、今の聖城の心内を表しているようだった。


指で旋律を奏でていく。


ポロっー…


乙葉の目から涙が溢れる。



「あれ、おかしいなぁ…

悲しくないのに…涙が…?」


指で涙を拭う。


演奏はいつの間にか終わっていた。


辺りはシーンとし、誰一人として言葉を発せずにいた。

小室も唖然として、聖城を見る。


「有難うございました。」


聖城は静かに立ち上がる。

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