第49話

「すごいな…」


聖城は言った。


「はい。

元気が湧いてくるような心が躍る…そんな感じでした!」


「ふっ、何だその感想。」


「だって、本当にそんな感じなんですもん。」


「確かに…小室の演奏は素晴らしいな。

プロになって更に高みへ登ったのか。」


「聖城、小室さんの演奏の仕方が変わったようだな。」


一宮は冷静に分析しているようだった。


「おにー様、ピアノのことは良く分からないんじゃなくて?」


「和美、僕だって少しは分かるつもりさ!小室さんとも昔よく遊んでたからね!」


「海外に留学していただけあるな。」


聖城は小室を称賛する。


「ドイツに留学してたっけ?

小室くんはすごいなー。」


「……。」


聖城の瞳は嫉妬に揺らいでいる。


聖城さん…本当はピアノに専念して、皆の前で弾きたいんじゃ…

やっぱり、ピアノが大好きなんだ。

でも、なんで、皆の前で弾く事を拒むのだろうか?

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