第40話

乙葉は翔太に言うことにした。


「聖城さんに、今、絵のモデルを頼んでいるの。」


「はっ⁈絵のモデル?

乙葉、絵を描くようになったのか‼︎?」


「うん!聖城さんの知り合いに、画家が居て、日曜日はその人に会いにいっていたの。で、その人に、秋のコンクールに挑戦してみないかって言われて…。」


「そっ、そうだったのかよ…

聖城と付き合ってるわけじゃないんだな⁉︎」


「えっ⁉︎付き合うって、そんな関係じゃないよ!」


「ハハッ、そうかよ。

でも、なんで、聖城が絵のモデルなんだよ…なんか気に食わねえなあー。」



「別に、私が何をモデルにしようが、いいじゃない。

私は描きたいものを描くの!」


「そうかよ…聖城ね…お前って昔から、好きなやつを描く癖があったよなー…」


「なっ、何がいいたいの?」


「聖城の事、好きなのか?」


「翔太には教えない!それより、もう、いいかな?

あまり、翔太といるところ見られたら、クラスの女子にまた、何か言われちゃう。」


「本当にクラスの女子を気にしてんのかよ?聖城に見られたくないんじゃないのか?」


乙葉は肩をビクッと揺らす。


「乙葉…変わったな…。」


翔太は切ない表情で乙葉を見つめた。


「あの人は私の作品を褒めてくれた。

聖城さんのおかげで、絵を描くことに挑戦する勇気がわいたの。」


乙葉は笑顔で言った。

翔太は何か言おうとしたが、言葉を飲み込み…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る