第29話
「さっ、僕の話はここまで。
そうだ、聖城が上手いと言っていたけど、乙葉ちゃんはどんな絵を描いているの?」
「はい…今は趣味で人物画を描いています。」
「へぇ…僕と似た共通点があるから、聖城は乙葉ちゃんを連れてきたのかな?
で、モデルは?」
「モデルというか…
ピアノを弾いている聖城さんを描かせてもらっています。」
「え?!聖城を⁉︎
これはこれは意外なモデルだね!」
アッハハと一宮は口を開けて笑う。
「私、ピアノを弾く聖城さんが好きで絵に残したいんです。」
「そうか、乙葉ちゃんも僕の様に、愛しい人を思いながら、キャンバスに思いを込めたいんだね‼︎」
「一宮さんのような…?」
「いいね、モデルが聖城なのが引っかかるが、思う存分描くといいよ!
そしたら、ある日、絵が語りかけてくるんだ....私を描いてくれてありがとうってね!!」
「はっ、はぁ…」
一宮の言葉に圧倒される。
「いいかい、芸術は感性、パッションだよ!」
グッと力を込め、力説する。
「聖城を描きたいほど、好きなんだね。
乙葉ちゃん、応援しているよ!
そうだ、この道具をプレゼントするよ!」
高級画材道具を一式渡された。
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