第21話

辺りが暗くなった頃、家にたどり着く。


「あれ、翔太?」


「やっと、帰ってきたか。

待ってたぜ。」


「どうしたの?」


「おばさんに聞いたら、お前がまだ帰ってきてないって言うから、ここで待ってたんだよ。

乙葉こそ、そんなに買い込んでどうしたんだよ?」


「これ?ちょっと、買い物したくて、明美さんのお店で買ったの!

それより、なに、どうかしたの?」


「あっ、と、その、今週の日曜日暇か?」


「え?」


「映画行かねーか?」


「は?」


「知り合いに2枚チケット貰ったんだよ。だから、乙葉…暇かなって…思ってよ…」


頭をポリッとかきながら、照れ臭そうに言う。


「私なんかより、気になる女の子でも誘えば?」


「そっ、そんなのいねーよ!」


「そうなんだ。

クラスの女子には人気なのにねー…。」


「はぁ?

いくのか行かねーのか?」


「ごめん、今週の日曜日は先約があるの。」


「あっ…そうかよ。」


翔太は乙葉の言葉に落ち込む。


そんなに映画見たかったのかな…

乙葉は断ったことに少し申し訳なさを感じた。


「ー…来週の日曜日なら、映画付き合ってあげる…けど?」


「えっ…マジかよ!?」


「うん…」


「なら、来週の日曜日な!

忘れんなよ!」


翔太は嬉しそうに、帰って行った。


なんで、わざわざ会ってまで言いに来たんだろ?スマホで連絡くれたらいいのに…?


乙葉は首を傾げながら、家の中に入って行った。

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