一宮さん宅にて

第20話

日曜日に向けて、放課後は翔太とも帰らずに、街へ勝負服を買いに出かけた。


翔太に付き合いが悪い、なんかあったのかとしつこく問い詰められたが、華麗にスルーした。


買う場所は決まっていた。


「あれ?乙葉じゃん!」


「明美さん、こんにちわ!」


「服を買いに来るなんて珍しいじゃん!」


「はい、実は日曜日に聖城さんと出かけるかことになって。」


「え!?

あの、休日誘うのが1番難しいとされる、噂の聖城先輩と⁉︎」


「そうなの?」


「うん、休日は予定がビッシリ埋まってるって噂。

何でも、親が金持ちで、その付き合いに連れ回されているらしいよ。」


「…そんなに忙しいんだ。

なら、何で私、誘われたのかな…?」



「ふふっ、それを超えるほど、乙葉と過ごしたいって事だね!」


「別に、そこまではないんじゃ…

ただ、知り合いの画家に会わせてくれる約束なんだ。」


「へー…乙葉、また、絵を描く様になったの?」


「うん…。」


「そっか!聖城先輩と話して、乙葉も変わったみたい!

なら、聖城先輩に釣り合うように、お洒落して会いにいかないとね!」

  

「うん、それで、明美さんにコーディネートしてほしくて来たの!」


「乙葉、気合い入ってるね!

いいよー、協力するよ!」


明美は嬉しそうに、服を選び始めた。


明美の実家はアパレルで、高い人気を誇っているお店だ。


服も可愛く、品があって、若い子達に人気のデザインが多い。


「これ、どう?」


少し、フリルがついたAラインの白色のワンピースをあてがわれた。


「うん、可愛い!」


「ふふっ、聖城先輩もメロメロ…なんちって!」


「もう、そんなんじゃないよ!」


「はい、はい、でわ、このヒールとバックと、カーディガンにー…。」


無事、全身コーディネートされる。


何処かのお嬢様の様な外見にされた。


「聖城先輩は金持ちと噂だから、清楚な感じでいいでしょう!」


「有難う、一式買います!」


「はい、有難うございます♪」


無事に服も買い、気分良くお店を出た。


「なんか、乙葉楽しそう…

うまくいくといいけどな…。」


明美は心配そうに、乙葉を見つめていた。

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