第12話
聖城さん…本持ってる…何を読むのかな?
気になる…
話しかけたいけど、話しかけづらい…
いきなりそんなに馴れ馴れしく話しかけたら、翔太に怪しまれる。
ここは我慢…
「翔太、教室に戻ろ。」
「あー…まあ乙葉が言うなら、そうするか…。」
聖城さんは木陰のベンチに腰掛けて、本を開いている最中だった。
本を読んでいる聖城さんも違った雰囲気で格好良いな…
視線は彼の方を向く。
すると、聖城も乙葉に視線を合わせる。
バチッと視線がぶつかり…
聖城は無音で口を動かす。
あ…なにか言ってるのかな…
じーっと口元をみていると、
”水曜日に音楽室で”と言っているみたいだった。
「!!!」
2人だけにしかわからない会話に、顔が赤くなる。
秘密の会話だ。
聖城は乙葉の顔を見ると、僅かに笑った。
「……っ。」
笑った顔も素敵だな…息が詰まりそうになる。
「乙葉、大丈夫か?」
翔太は心配そうに顔を覗き込む。
「う、うん、大丈夫!
行こう!」
早歩きで動く。
「ああ?」
乙葉の様子に不審がりながらも、翔太も一緒に歩く。
翔太は乙葉が視線を向けていた先を一瞥する。
あいつは…
聖城琴臣だ!けど、あいつを見ていたのか?まさかな…?
聖城は本に視線を落としていた。
「ー…。」
無言で聖城を睨む。
乙葉と聖城は接点はないはず…俺の考え過ぎか?
あいつのこと…いやいや…
乙葉のタイプじゃないしよー…
翔太がそんな事を思っていたのは、乙葉には内緒だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます