第11話

中庭はあまり人がいなくて、ちょっとした穴場スポットだ。


「相変わらず、中庭は人が居ねーな。」


2人は椅子に座る。


辺りは人が居なくて、ゆっくり食べられそうだった。


まっ、クラスの女子にも見られなくて良いんだけど。


「そうだね…さ、パン食べよー。」


遠慮なくパンを選ぶ。


「ほら、クリームパンやるよ。」


「ありがとう!」


翔太から受け取り、クリームパンを頬張る。


クリームが口についているとはつゆ知らず、もぐもぐ食べていく。


「ぷっ、乙葉、クリームついてる!」


翔太はククッと含み笑いをする。


「えっ!うそ!」


「仕方ねえなー、取ってやるよ。」


翔太が身を乗り出してくる。


「ちょ、しょ…」


翔太を見ると、その後ろで、聖城さんが私達をガン見している。



「え!!?」


聖城さん!!?

なんで、中庭に居るの!?

放課後の音楽室以外で実際に姿を見たのは初めてだ!

レアすぎる、神様ありがとうございます。

じゃなくて、今の状況を見られているということ、翔太と恋人同士って勘違いされちゃうかも!?


慌てて、翔太をかわす。


「あ、UFO!」


空を指差す。


「ハッ!?まじかよ!!?」


翔太は勢いよく空を見上げる。


釣られて聖城さんも空を見上げている!


「なんだよ、なんもねーじゃん!」


「あれ、おかしいなー?」


とぼけたふりをしながら、聖城さんをチラッと見る。


聖城さんは少し落ち込んだ様子で私を見ていた。

意外とそういうのを信じちゃうタイプらしい。


「乙葉、今度見たらもっと早く言えよー。」


「うん、分かった!」


なんとか、翔太の行動を阻止することに成功した。

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