第10話
「え?あっ…っと…」
明美に耳打ちをする。
「聖城琴臣…あー!!ピアノが上手いって噂の3年生の先輩じゃない!
意外なとこ行ったね。スポーツマン系が好きじゃなかった?」
「中学の時の話だよ。
今は…うん、聖城さんが…気になるんだ。」
「うーむ…こりゃ、波乱だ。」
「え?」
「あっ、こっちの話!
乙葉、頑張ってね、応援してる!
聖城先輩の事は知らないけど、仲良くなれるといいね!」
「明美さん、有難う!」
「さっ、聖城先輩の情報収集しないと…。」
明美はボソッと言った。
1人になり、私は周りをキョロキョロ見渡す。
「さっ、勉強勉強〜。」
独り言をいう。
周りに悟られない様に、スケッチブックを見つめる。
聖城さんのピアノを弾いている姿を描ける…楽しみ!
次は、本人の許可をもらってるから、堂々と出来る。
「おい、乙葉!」
「きゃぁ!」
急に声をかけられ、ビクッと体が反応してしまった!
「しょ、翔太!
どうしたの⁉︎」
「どうしたのって、昨日のパン奢る話、忘れてないよな?」
「あっ、うん!」
「ほら、もう昼だから、行くぞ!」
「はっ、え?」
「売り切れちまうだろ!」
グイッと手を引かれる。
「あー、もー、待って!」
引きずられるように、連れて行かれた。
昼休みは人でごった返している。
「これでいいや、乙葉!」
「すみませーん、これ下さい!」
「はい、1000円だよ!」
購買のおばちゃんはパンと引き換えに乙葉から現金を受け取る。
そして、山盛りのパンを翔太は受け取る。
「乙葉、サンキューな。」
「はいはい。」
財布をしまいながら、適当に相槌を打つ。
「昼飯まだだろ?一緒に買ったパン、中庭で食べようぜ。」
「でも、翔太のために買ったのに、私が食べたら奢った意味がないよ。」
「乙葉が好きなパンも買ったのに1人で食べろってか?」
「えっ⁉︎もう、仕方ないなぁ!」
「行こうぜ!」
翔太に手を引かれて、中庭に来た。
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