2人だけの…

第9話

聖城さんのピアノを弾いている姿が好き。


私の絵を好きと言ってくれた聖城さんが好き。


…この好きってなんなんだろう?



昨日から、夢うつつな状態から抜け出せない


好きな人と話せただけでも夢の様なのに、ピアノを近くで聴いてもいいって許可まで貰って、聖城さんの絵も描いていいって、どんなラッキー展開なのー⁉︎


バタバタと足を動かす。


「乙葉ちゃん、珍しくテンション高いね。」


「明美さん!」


「なんか、いいことあった?」


明美さんは友達で、いつもポッキーを食べている。

でも、美人でスタイルがいい。


「うん…すっごくいいこと!」


「へー、なんだろう、好きな人が出来たとか?」


「まさにそれなんだけど、好きな人に話しかけてもらえたの!」


「えー、ちょっと、何それ!」


「でも、この好きって気持ちが人として好きなのか、弾いてる姿が好きなだけなのか、恋愛の好きなのか分からなくて、何だろうって思うの…。」


「うんうん!

今はまだ、わからなくてもいいんじゃない?

乙葉からそんな話、久しぶりに聞いたなぁ!」


「そうだよね。

有難う。今を楽しんでみる!」


「そ、変に考えても、意味ないし、先ずはその人ともっと話してみなよ!」


「だよね。」


「でさぁ、その人って誰?」


明美の顔がぶつかりそうになる寸前まで近づいてくる。

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