第3話

毎週水曜日は、放課後の誰もいなくなった音楽室で


あの人がいつもピアノを弾いている



♪~


音楽室に近づくたび、音がはっきりと聞こえるようになる



良かった!今週も弾いていた!


私は急ぎ足で向かう。


コソッと定位置に着くと、音楽室のドアを少し開ける


今日も夢中で弾いているみたいでこちらに気付いていない。


気付いてもらわなくて良い。


だって、私は無断でこの人の演奏を聴いているんだから。


綺麗なメロディー…


心地よいメロディーに耳を預けながら、あの人の顔を見る。


弾いている姿は美しくて、目を奪われる。


その姿を絵にしたくて、私はノートにその人の弾いてる姿をデッサンしていく。


デッサンがバレたらきっと、気持ち悪いやつだと思われる。


でも、手が勝手に動いてしまう。


私の病気が表に出る。


夢中で描いてしまう。


だいたい、出来た。


集中力も途切れた時、ふっと、耳を澄ます。


この曲…聴いたことないかも…


明るく聴こえるけど、もの悲しい繊細なメロディー。

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