三 段

第63話

ここは、宝来家の食堂



「「「カンパーイ」」」



チンッとグラスが鳴る。



父様との食事の間に何故か世話役の結夏も座って、乾杯した。


あいつ、なんでシャンパンを飲んでいるんだ?


バイトだよな?


結夏は何食わぬ顔でステーキを食べていた。




「充よ、生徒会長就任おめでとう」


「父様、ありがとうございます」


「うむ。

より一層、勉学に励むのだぞ」


「承知しております」


「…充もあの学園の生徒会長か…

しかし、生徒会長選は接戦だったと聞いたが?」


「はい、ライバルが思ったより手強く、手こずってしまいました」


「そのライバルとやらが、北條グループの御子息だったみたいだな」


「仰る通りです。

北條流星…なかなかのやり手でした。」


そう、なんらかの裏工作をして、同列までのし上がり、危うく生徒会長の座を奴に奪われるところだった。



「しかし、その御子息を打ち破る作戦を助言したのが

…結夏さんだったと聞いたが、本当かな!?」


「ええ、彼女の助言がなければ…

恐らく私は…」


チラッとアイツを見れば、すました顔でシャンパンを飲んでいた。


「生徒会長にはなれなかったでしょう」



悔しいが、本当のことだ。


今回はあいつのお陰で助かった。



「結夏さん、充が世話になった…ありがとう。」



「宝来様、私は充様の世話役です。

お役に立てなければ意味がありません」


「ほー…結夏さん、充の世話役を辞めて、私の秘書にならないかい?」



ニコニコと笑顔で結夏を勧誘する。

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