第49話

ふう…



一日を無駄にしてしまった。



けど…



案外充実していた。


ふっと笑みが溢れた。








キキッー




ベンツが校門前に停まる。



運転手がドアを開けた瞬間



「「キャー!充様ー!」」



女子達が充の車に押し寄せる。



「これはこれは…朝からみんな、どうしたんだい?」



爽やかな笑みを浮かべ、対応する。



「充様、もう、具合は良いのですか!!?」


「そうよ、わたくし、心配いたしましたのよ!?」


「ああ、もう大丈夫だよ。

君たちには心配をかけてしまったね。」


申し訳がなさそうに見つめたら…


ミツルーズはウルウルと瞳を濡らし、感激する。


「私達はいつでも充様を想っていますわ!」


「有難う…君たちはこの学園の名に恥じない素敵な淑女だ」


「「キャー!!!」」


朝から校門前は騒然としていた。





ザッ…



「………ふふ…生徒会長…

ワタクシのフィアンセはなれるかしらぁ?」



マロン色の髪の毛を揺らしながら、女は日傘の中から充を見つめる。




その目は品定めをしている目つきだった。

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