第37話
「私は生徒会長になって、みんなが過ごしやすく、差別のない自由を謳歌できる学園に変えたいと思っている。
だから、貴方達の票が必要なんです。
どうか、私に投票してはいただけないでしょうか?」
ニコリと笑顔で演説した。
「…ーぶっ!」
「…フフッ」
愛苦と愛羅は顔を見合わせる。
「「ギャーハッハッハッ!!」」
爆笑する声が響く。
「で、坊ちゃんヨォ、お前に投票して、何の得があんだ?
ふざけてんのかァア?」
怒りに顔を歪ませ、充の胸ぐらを掴む。
「…。」
尚も、充の顔は笑顔を保ったまま、愛苦と愛羅を見た。
「キャハハー、じゃあさ、愛羅が金髪に派手なネイルとメイクをして学園に行ってもいいわけぇ?ダメだよねー⁈」
口元に手を当て、可愛い子ぶりながら聞く。
「ああ、私が生徒会長になったなら、個性としてその人の人権を尊重する。
そのメイクもネイルも髪の色も、自分を表現するのに必要なんだろう?」
「えっ…?
まっ、まぁ、うん、愛羅の命だしぃ?」
充の思わぬ言葉に、愛羅は焦ったように高速で髪の毛を弄り出す。
「そう言うことだ。
安心して学園に来てくれないか?
私はどんな愛羅さんでも受け入れるよ」
「はっ⁈
ちょっ、意味わかんないし!
愛羅、学園行くとか言ってないよ⁈」
頬を真っ赤に染めながら、慌てて否定する。
「来てくれ。
きっと素敵な学園生活になると約束しよう」
「はー……」
ポカンと愛羅の口が開く。
「あっ、愛羅⁈
テメェ、愛羅に何しやがったあ?」
「ただ、話をしただけだが…?
愛苦君もどうだろう、投票してくれないかな?」
「ふざけやがってぇ!
調子のってんじゃねーぞぉお!!」
勢いよく右手を振り上げる。
「充様危なっ!?」
「結夏、来るな!!」
充は声を張り上げ、牽制する。
「いい度胸じゃねぇかぁ…
どうやら、殴られてぇようだなぁ?」
愛苦はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
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