第35話

「しかし、不登校者なんて俺は知らないぞ。

どうするんだ……?」


「そう、その為に中木先生の力が必要なんです」



結夏の視線が中木に注がれると…


ポっと中木の頬が赤く染まる。


「中木先生…できますよね?」


「はい!!真田先生の言う通り、これは私にしか出来ない仕事だ。

不登校者リストならすぐに手に入れられる!」



嬉しそうに中木は叫んだ。



「はい、中木先生、頼みましたよ。

くれぐれもバレないようお願いしますね」


「もちろんだ!」


結夏に命令され、中木の目にはやる気がみなぎっていた。



「そして、充様にはそのリストを元に、不登校者と直接面会して、票を入れてもらえるように懇願するんです。」



「はあ?

なんで俺がそんな面倒臭い事をしないとー…『ダンッ!!!』」



勢いよく机が叩かれた音が響いた。


ビクッと充の肩が揺れる。



「充様、何をヌルいことを言っているんですか?」


結夏は充を睨む。



「なっ、なんだ!?」


結夏の豹変に狼狽える。


「あなたにはやるしか道は残されていないんです!!

じゃないと、北條流星には勝てませんよ!!!!」



結夏は叫ぶ勢いで言い、真剣な目で訴える。



「う”……わ…分かった!!

やる!!!やれば良いんだろう!!?

面会でも懇願でも何でもしてやる!!」



勢い任せに言ってしまった。



「そう、充様、その意気です!」



結夏は嬉しそうに美しい顔で微笑んだ。



「フンッ!」



視線をあの女から窓へと変えた。



ドキドキドキドキドキドキー





この鼓動の動きは一体なんなんだ…………?

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