第33話

ガタッ!!


椅子が勢いよく動く!



「この女…充様がそんなことで怖気付くわけがないだろう!!

言葉には気をつKッ!!!?」



充は手で春樹の言葉を静止させた。


「充様!!?」



無言の圧力が春樹を襲う。


異様な雰囲気が漂った。



「………。」



口の中が異常に乾く…


ゴクリと無いつばを飲み込む。


「……失礼いたしました」



春樹は大人しく椅子に座った。



「…続けろ」


充は促す。


「はい。

では、ここから北條流星の裏の顔を…

暇つぶしにターゲットを決めイジメをしたり、人をパシリに使い、気に入らない相手は学園を追放させる。

逆らった相手には暴力で報復する。

悪口を言った相手にも暴力で口が裂けるくらいに殴る。

不良を金で買収し、操っている。

金曜日の夜は妹の人脈を使い、怪しいパーティーを夜な夜な開催している…らしいです。」


「……どこが俺と似ているんだ?

はは、とんだ極悪人じゃないか、なあ、春樹?」



フフンと鼻歌交じりに充は言った。



「はい、全くです。」


春樹もクスクスと笑みを浮かべる。



この人達は自分が悪いことをしている自覚がないらしい。


結夏は呆れ顔で充と春樹を見つめた。



「はー…充様も人を金で買収して裏で鬼畜なことをしているではありませんか!」



結夏は嫌味たっぷりに笑う。



この女ー!


言いたい放題言いやがって…



眉間に皺が寄る。



しかし、今はこの女のちからが必要だ。



ぐっと言い返したいのを我慢する。

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