第73話

ケントも続けて飲むと、フゥッと呼吸を整え直す。


「ななみちゃん、俺は姫達の癒しや支えになりたいんだ。

ふーぞくに堕とすなんて、最悪じゃん。

それに、言ったよね!姫達には常識の範囲内で遊んでほしいって。

なんで、俺が自ら破る様なことしないといけないの?」


「でも、この間、姫とキスしてたじゃない!」


「あれね…あれは寸止めだよ。

なんで、わざわざキスを許すの?

俺、安売りはしない主義って言ったよね。」


「ううっ…。」


反論できない。


「ななみ姫は特別。

俺のプライドを傷付けた罰として、ななみちゃんが惚れるまで、この恋というお遊びに付き合ってもらう。」


「なっ、なんで…私だけそんな扱いなの⁉︎」


「俺は深く深く傷ついたんだよ?

当然の権利でしょ!

まっ、やったくらいじゃ惚れてくれなかったみたいだし…ゆっくり攻めていこうかな?」


怖いほどの笑顔で笑っていた。


「訳がわからないよ…。」


「まぁ、まぁ、せっかく来てくれたし、終わったら、アフター行こうね。

混乱しているななみ姫に、美味しいご飯をご馳走してあげるよ。」


無邪気な笑みを見せるが、一体何が目的なのか、見当もつかなかった。


「ケントさーん、Key様にお祝いのメッセージを下さい!」


突然、ホスト達がななみの卓にワラワラと来た。


そして、ケントにマイクを手渡した。


「Key様、誕生日おめでとう。

最近、調子もいいみたいだから、このまま順調に俺を追い越しに来てね。

そして、沢山の姫達を幸せにしてね。」


「「ヨイショー!」」


「ケントの姫様からもメッセージお願いします!」


ななみは無理矢理マイクを手渡された。


「え?おめでとうございます。」


「「アッサリヨイショー!」」


BGMの終了とともに、ホスト達は去って行った。

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