第72話

「ケ、ケント、今日は楽しみに来たわけじゃないの、話をしに来たの。」


「話って?」


キョトンとケントは綺麗な二重を見開いている。


「ケントは私を弄んで何がしたいの?」


「え?」


「えっ?じゃないわよ。

あの日、むっ、無理矢理抱いて…私を堕としたつもり?

甘くみないで、私はケントの思い通りにはならないし、ふーぞくにも落ちないわよ!」


「は?」


「はっ?て、馬鹿にしないで!それがケントの手口なら、私は幼馴染として忠告してあげる。

今すぐそんなことはやめることよ。」


「……。」


ケントは無言になる。


「なっ、何か言うことはある?」


「…アハハハー!」


ケントは突然、笑い出す。


「何がおかしいの⁉︎

私は真剣に…」


「だって、ふーぞくって何?

俺が無理矢理、姫達を抱いてふーぞくに堕としてるって言いたいの?」


ななみはコクコクと頷く。


「アハハハー!ななみちゃん、想像力豊かすぎるでしょ!」


真剣な、ななみとは裏腹に、ケントは腹を抱えて笑い続ける。


暫くして、笑いも落ち着いてきた。


「あっ、飲み物頼むねー、シャンパンでいいか。」


近くにいた黒服に頼む。


そして、すぐにシャンパンを持ってきた。


手慣れた様子でシャンパンを開け、ななみに注ぐ。


「ななみ姫、俺から初指名記念のプレゼント。

飲んでいいよ。」


スマートにそう言われて、ななみは何も言えぬまま、大人しく飲む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る