第71話

「ななみちゃんが指名してくれたから、嬉しくてさ。

ここ、バリアスでやっと俺と恋する気になったってことだよね?」


首を傾げ、同意を求めてくる。


「恋も何も…」


何もかも手順をすっ飛ばしてるけど⁉︎




ななみは次の言葉が言い出せない。


「楽しみだなぁ、ななみ姫との疑似恋愛…どうやって、俺に夢中にさせようかなぁ?」


ねっ?っと愛おしげに、ケントはななみの髪に触れる。

ビクッと体が反応する。


「ケント…さっ、触らないで…!」


ななみは顔を赤くして言う。


「なんで?」


ケントはななみの耳元で囁く。


吐息混じりの声が耳を刺激して、体がゾワッと震える。


「なっ、なんで、って、だめ!」


「ふふっ…分かった。」


ケントは悪戯な笑みを浮かべ、ななみから離れる。


心臓がドキドキして、動悸が止まらない。


あの夜のことを思い出してしまう。


いや、ケントのペースにはまるな。

私はそう、文句を言いに来たのよ!


ななみは頭を切り替えた。

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