第70話

「まだかな…。

なんか、良く分からないコールばっかり流れてるし…Key様、Key様ばっかり声がする…。」


ななみは慣れないコールの音に気疲れしていた。


その時


「ななみ姫、お待たせ。」


フワッといい香りが鼻をついた瞬間、前髪をアップにしたケントが立っていた。


「あー…ケント…。」


ななみは見慣れないケントのアップした髪型に、目を奪われる。


「髪型と色変えたんだ。」


少しやんちゃ風だけど、ワイルドなシルバー色になっていた。


「ななみちゃんが指名で来たって聞いたから、張り切ってたら、遅くなった。

ごめんね?」


ケントはななみの隣に座る。


「い、いいの…別に。」


「そっか。

今日の俺、どうかな?」


「い、いいと思う。」


「ふーん、それだけ?」


ケントは不満げな顔で覗き込む様に距離を縮めてくる。


「かっ、カッコいい!見惚れる。」


「やったー、ななみちゃんに褒めてもらっちゃった!」


無邪気に笑う。

この前の強引なケントは見る影もない。

どちらが本当のケントなのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る