第69話

「カルマさん、お願いします!」


黒服がカルマを呼びに来た。


「ごめん、行きますね。

ななみ姫、ご馳走様です。

ケントが来るみたいですよ。」


カルマはニコリと笑うと、颯爽と歩いて行った。

ななみはまた1人、ウーロンハイを飲んだ。




カルマが待機室に戻ると、呼びかけられた。




「おーい、カルマ、ちょっとこっち来い。」


「天ヶ崎社長何か用でしょうか?」


社長と呼ばれた入れ墨をしている中世的な顔をした男が手招きしていた。


「カルマがヘルプにつくなんて珍しいな。

なんでも、ななみとかいう最近のケントの姫らしいなぁ!」


「それがなにか?」


カルマは少し眉間に皺を寄せる。


「お前がヘルプにつかないといけないほど、重要な姫なのか?

経営者か?有名人か?」


「別に…ただの何の取り柄もない姫ですよ。

まぁ、ある意味、私にとっては重要ですかね…クスッ。」


「おいおい、トラブルだけは勘弁しろよー。」


「はいはい、分かってますよ。

じゃあ、私はKey様のイベントでも盛り上げてきましょうか?」


「頼むぞー、ガンガンシャンパン煽れ〜。」


「はいはい、天ヶ崎龍様の言う通りに。」


カルマはやれやれとため息をついた。


「ったく、そんなにケントの姫が気になるのか…

カルマ、何を考えてんだよ?

まぁ、競争することでうちの売り上げが爆上げすればそれで良いけどなー。

ななみ姫かぁ…うちの幸運の女神になってくれるといいが。」


それまでは、黙って見守るとするか…。




ニヤニヤと天ヶ崎龍はこれから起こり得るイベントに口元をあげる。


トラブルが起きようが、彼にとってはどうでも良かった。


ただ、金が動けばいい。


彼は根っからの拝金主義だった。

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