第50話

「…でも、なぜ、ナツキくんがななみさんと一緒に居るのかな…?」


カルマは気になっていたことを聞く。


「あ、それは、ななみが泣いているのが見えたから!」


「姫に頼まれた物…早く届けなくてもいいんですか?」


「ななみが心配だから!もう少し一緒にいたいんです!」


ナツキは心配そうにななみの顔を見る。


カルマはその様子が気に入らず、眉間に皺を寄せる。


「その役目は私がするので、どうぞ、ナツキくんはお仕事に戻って下さい。」


カルマはニッコリ笑顔で、エレベーターを指差す。


「カルマさんこそ、№2だから、姫がたくさん待ってるんじゃないんですか!?」


半笑いでナツキはカルマに言う。


周りがピリピリと緊張感に包まれる。



『一体、何がどうなってるの!?

どうして、カルマさんとナツキの間に緊張感が漂ってるの?』


ななみは只、泣いていただけなのに、何とも気まずい空気に圧倒されてた。


「はあ…ナツキくん、どうして君はそこまで必死になるんだい?」


カルマは不思議そうに聞く。


「それは…」


バツが悪そうに顔を俯かせる。

ナツキの様子にカルマは勝ち誇った笑みを浮かべた。


「ナツキくん、私はね、ケントに振り回される、ななみさんが心配で堪らないんだ。

だから、私にできる限りのことはしてあげたいし、傷ついたのなら慰めたい。」


「えぁ!?」


カルマの言葉に恥ずかしさがこみ上げ、息が詰まりそうになる。


冗談なのか、本気で言ってるのか、真意はわからない。


『カルマさん、なんで私なんかを気にかけるの!?

一体何が目的なのー!?』


心の中で絶叫する。


「俺だって、ななみが心配なんだ!

だから、力になりたい!

ケントさんに振り回されているのなら、ケントさんから助けたい!」


「え…」


いつの間にかケントが悪者にされている。

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