第47話

「…カルマさん、今日はありがとうございました。

もう、十分に分かりました。」


ななみはカルマに微笑する。


「え!?

あ、はい、ななみさんが満足したのなら、私は良いんですよ。」


「このお礼は改めて、後日させて下さい。」


「…分かりました。」


「ケントさん、お願いしまーす!」


内勤のケントを呼ぶ元気な声がする。

これは、他の客がケントを呼んでいる合図だ。


ケントは有美から離れ、移動する。


そして、ななみが座る卓に近づく。



「じゃあ、ななみさん、また。」


カルマはななみの手を握り、自分の口に引き寄せ、手の甲にキスをする。


「カルマさ…!!?」


ななみはカルマの行動に頬を赤く染める。


その時ー


「えー…

ななみちゃん!?」


ケントは呆然とカルマとななみを見つめる。


「ケント!?」


ケントとななみの視線が合う。


「ななみちゃんがなんでここに居るの!?」


「…カルマさん、もう行きます…。」


ななみは立ち上がる。


「…ななみちゃん、こっちをむいて!」


ケントはななみの肩を持つが、ななみに振り払われる。


そして、ななみは歩く。


「カルマ…ななみちゃんに何をした?」


ケントはカルマを睨む。


「さあ?

私は初回で来た姫様の相手をしていただけですよ?」


「お前が!?

ななみちゃんが普通の子だってお前なら分かるだろ。

女を金でしか判断しないお前がなんで、ななみちゃんに興味を示すんだよ?」


「はあ?

見くびらないでください。

私だって、興味を示すときがありますよ。」


そう、NO,1がやけに特別に気にかける女にね…



カルマはクスッと笑みを浮かべる。


「ケントさん、急いで下さい。」


内勤のケントを急がせる声がする。


「行かなくて良いんですか?

次の姫が待っていますよ?」


カルマは不敵に笑う。


「カルマ…」


ケントはカルマを睨む。


「ケントさん?」


内勤はケントの前に姿を現し、迎えに来た。


さっきまで、カルマを睨んでいた表情から、目を閉じ、一瞬にして、表情を変え、笑顔に戻る。



「ごめんね、今行く。」


ケントは再び、姫の所に行く。


カルマはご機嫌でななみのあとを追うことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る