第41話

金曜日の夜、バリアスが入っているビルの下でカルマと待ち合わせる。


ケントにはバレてはならない…

ななみは緊張していた。


「そんなに緊張しなくても…」


カルマはななみの様子を苦笑いで見ていた。



ななみさんは本当の自分の気持ちに気づいているのだろうか?

自覚がないようだが、恋する女の典型的な行動だ

相手がした行動がいちいち気になって仕方がない

ホストが姫に対してする行動に

果たして、ななみさんは耐えられるか…

そして、ケントはどう行動する?


ククッ…

ななみさんが台風を起こす目になればいいが…

ケント、お前の弱みを握ってやる!


カルマはニヤリと笑う。



「カルマさん、今日はよろしくお願いします。」


「ええ。行きましょうか。」


エレベーターを呼ぶ。


そして、バリアスに入る。


前回会った受付のカイと呼ばれた男が迎え入れる。


「事情は話してあるから…ね、カイ。」


「はい、カルマさんに聞いてますから、安心して下さい!

なるべく目立たない席を用意してます。」


「有難うございます!」


席に案内され、ななみは座る。

その隣に、問答無用で距離を縮められ、カルマが座る。


「あの…近くないですか?」


「あまり離れてたら、ななみさんの存在がバレやすいですよ。」


「そ、それもそうですね!」


やっぱり何もわかっていない。

これも、カルマの作戦だった。

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