第39話

「私は気になるんです。

ケントが何故、キスマークなんかつけたのか。」


「へぇ…自分だけはケントの特別だとでも思いたいんですか?」


カルマの切長な目が、冷たくななみを射抜く。


その視線に、ななみは怖気付いてしまう。


「あっ、すみません。責めているわけではないんです。

ただ、キスの一つや二つされた所で、ホストクラブに来る女性なら、あまり気にしないと思ったので。」


「つまり…?」


「ぇえ、まぁ、日常的に行われるくらい、私達にとっては身近なものかもしれませんね。

それが、ホストクラブというか場所。」


カルマの発言に、ななみの心がズキッと痛んだ。


そうだよね…ホストクラブは恋愛をしているような環境を提供している。キスの一つ、するときもあるんだ。


ななみの表情に影がともる。


「そっ、そうなんですか…。」


現役の人気があるホストに言われると、それはやけに説得力を持った言葉になる。



「まっ、キスをされたからと、それに拘る、ななみさんはウブですね〜。」


クスッとカルマは愉快そうにタバコを吸いながら、笑う。


カルマの姫が見たら、脳殺だろう。

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