第38話

日曜早朝の喫茶店内ー


全身黒色の服にグラサンをした、派手な男は喫茶店内を彷徨く。


「カルマさん、こっちです!」


ななみは手を振り、居場所を伝える。


「遅くなってすみません。」


「こちらこそ、無理を言ってしまってすみません。」


「いいんですよ。

私が相談にのると言ったんですから。」


カルマは優雅に椅子に座る。


それと同時に、店員が注文を取りに来た。


「カルマさん、何を飲みますか?」


「そうですね、コーヒーでも頼みましょうか。」


「じゃあ、コーヒー2つ。」


注文を終え、暫くすると、ホットコーヒーが二つ運ばれてきた。


「煙草を吸ってもいいですか?」


「どうぞ!」


了承を得てから、カルマは紙タバコに火をつける


そして、一つ煙を吐いた。


「で、私に話とは?」


真剣な表情のななみに聞く。


「カルマさんはあの夜、私がケントと一緒にいた事、分かってましたよね?」


「それがどうかしましたか?」


カルマはクールに応える。


「何で分かったんですか?」


「…香水です。」


「香水?」


「ぇえ。

ケントがずっと愛用している香水の匂いが、ななみさんからしたので…

近くに居たのかと推測できました。」


「だから、あんなふうな聞き方をしたんですね!」


「あと…」


そう言って、カルマは首筋を指差す。


「えっ?」


ななみは訳がわからず、訝しげにカルマを見る。


「キスマークですよ。

それを見た瞬間、確信に変わりました。」


「えっ‼︎やっぱり、カルマさんには気付かれていましたか…。」


ななみは恥ずかしそうに俯く。


「まぁ、夜の世界ですから、そういう事に人一倍敏感に反応してしまうのかもしれない。

私達は女性を相手にしていますからね。」


「その、ホストの皆さんは直ぐにそういう事をするんですか?」


「…さぁ?どうでしょう…

人のやり方までは分かりません。

直ぐに手を出すホストも居ますし、しないホストも居ますし…」


煙草の煙を燻らせる。

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