第34話

「まさか…ナンパでもされた!?」


あ…良かった。ケントと一緒にいるところは見られていない。


ななみはホッと胸をなでおろす。


「そう、少し話しかけられて、その人と話していたの!

心配かけてごめん。」


「変な人も多いから、気をつけてね。

ななみに何かあったら俺、耐えられないから。」


「うん、有難う!」


ななみはナツキに笑いかける。


「ー…ななみって、笑うと可愛いよね。

なんか、顔も真っ赤だし、あどけない感じも合わさってヤバいよ。」


「え…?

やだ、ナツキくん、褒めるの上手ー!

もう、早く戻ろー。」


無理やり、ナツキの腕をつかんで、会話を強制的に終わらせたかった。


近くに、ケントの気配を感じていたから…




ななみはケントのいる方向をちらっと見る。



居ない…


気の所為だった?












バリアスとリースが入っているビルの前に戻ってきた。



「須藤さんが帰るって言ってたよ。」


「そっか。

分かった。」


ななみとナツキはエレベーターを待つ。


チンとエレベーターのドアが開く。


「ーあ!」


ななみは思わず声を発してしまう。


「あなたは…」


今日も全身黒い高級スーツに身を包んだカルマが居た。


「あ、カルマさん!こんばんわ!」


ナツキは愛想よく挨拶をする。


「君は…確か、リースのナツキ君だね。

へえ…面白い組み合わせだ。」


カルマは美しい顔をニヤリとさせる。

ななみは思わず、視線をそらす。


「ナツキくん、行こ…。」


ななみはカルマの横を通り過ぎようとする…


その時、


ふわりといい香りが漂う。


ん…?

この匂いは…

ケントの香水の香り!?

なんで、ななみさんから…この香りが?


カルマは吃驚する。


ななみを見つめると、首筋に赤いマークが有ることに気付く。

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