第33話

「〜〜‼︎⁉︎」


ちょっとした痛みに、ななみは目をパチクリとさせる。


「ケ…ケント、いま…何したの?」


「え…

ななみちゃん、もしかして分かってないの?」


「はっ!?わ、わかるよ!」


ななみは慌てて否定する。


本当は、ケントに何をされたのか全くわかっていない。



「へー。」


ケントはななみの様子に嬉しそうに笑う。


「クスッ…もう、行きなよ。

あまり待たせると怪しまれるからね。」


「言われなくても行くよ!

ナツキが心配するし!」


「そう。

楽しんでね。」


ケントはあっさりとななみを解放した。

先程の執着が嘘のようだった。



ななみはビルの隙間を出る。


「悪い男が近寄らないように、マーキングはしとかないとね。」


ケントは企みの笑みを浮かべた。






「ナツキくんー!」


ななみはナツキを呼ぶ


「ななみちゃん、何処に行ってたの!?

近くにいないから心配したよ!」


「ごめん、ちょっと…」


ナツキはななみに駆け足で近寄る。


「そっか!

………っん!?」


ななみに近づくと、ふわっといい香りが漂う。


この香り…


ななみちゃんの匂いじゃない…?


眉間にシワが寄る。


「ナツキくん、どうかした?」


「あのさ、ななみちゃん、今まで誰かと一緒に居た?」


「ええッ!?」


先程のケントとのやり取りを鮮明に思い出す。


またキスされた…

しかも、今度は首筋にも…

あー、もう!



ななみの顔は赤面する。



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