第25話

お酒が運ばれて来た。


涼は須藤の隣に座る。


「もう1人呼ぶでしょ?

誰、呼ぶ?」


涼にホストが写ったメニュー表のようなものを出された。


「えっ…うーん」


「設楽さんのタイプってどんなんだろー?」


「うっ!」


ぶっちゃけると、誰でもいい。

だが、そんなことは言えない。


「あっ、このお店のオススメの新人さんとかは居ないんですか?」


「あー、うん、じゃあ、ナツキを呼んでくるね!」


涼は近くにいた内勤に、耳打ちをする。


暫くして、ナツキと呼ばれたホストが来た。


爽やかな好青年だ。


「わー、正統派イケメンって感じ!」


須藤は上から下まで見る。


「あまり見ないの!比奈ちゃんには俺がいるでしょー。」


「ごめーん!怒んないで!」


キャッっと少しイチャつく。


これがホストクラブ…!

本当に甘々で疑似恋愛を楽しむところなんだ…

ななみはしっかりと観察していた。


「えっと、お名前はなんていうんですか?」


席についたナツキに聞かれる。


「あっ、ななみです。」


「へぇ、じゃあ、ななみさんでいいですか?」


「あー、ななみでいいよ。

敬語は緊張するから、タメ語でお願い。」


「うん!ななみはホストは初めてなんだ。」


「まあ、うん。」


場は和み、グラスに注がれたお酒を飲む。


須藤と涼は距離を近くし、イチャイチャと話していた。

2人の世界に入っていたので、ななみは2人を無視することに。


「このお店はどう?」


「なんか、気楽な感じで、過ごしやすいかも!」


グラスを持ちながら、店内を見渡す。

どの卓からも、笑い声が聞こえてくる。


「そうだね。

ここはどちらかというと、アットホームな感じだからね。」


「うん、いい感じだね。」


「気に入ってもらえてよかった!」


ナツキは口元を上げて笑う。



「…かっこいい…。」



ナツキくん…良いかも


はっ!!

これが、ホストクラブの魔法!?


「あれ、ななみちゃん、ナツキが気に入った!?」


涼はテンション高めで茶化してくる。


「え!ちがっ…。」


ななみは慌てて否定する。


「もう、設楽さん、幼馴染みのホストくんが悲しむぞーー!

ナツキくん、この子の話聞いてあげてよ!

もう、すっごく面白のー!!」


キャハハーと須藤は腹を抱えて笑っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る