第21話

あー


うん、気のせい気のせい


見てない見てない



「あれ、設楽さん、顔が険しいけど…

もしかして、緊張してる?」


「あっ、うん、そう、それ!

緊張するなーあはは!」


ななみは乾いた笑いで誤魔化す。


「リースはリーズナブルな値段で入れるから、敷居が低いし、リラックスして大丈夫よ!」


「あっ、そう!

それだったら、安心だな!」


「逆にさぁ、看板の、5階にバリアスって書いてるホストクラブがあるよね?」


「はっ⁉︎えっ⁉︎

それがどっ、どうかした⁉︎」


「バリアスってホストクラブは敷居が高くて、料金も滅茶苦茶高いから、昼職の私達は絶対に入っちゃ駄目だよ!」


「へー…そうなんだ。

うん、絶対に入らないから大丈夫だよ!

忠告ありがとう。」


「それにさ、バリアスのNo.1って一般の女の子は絶対に会ってくれないらしいよ!

何かしらの地位を持ってる人しか相手にしてくれないんだって!

ちょっと、嫌だよねー。」


「えっ⁉︎」


何それ⁉︎

一般の女は相手にしない?

滅茶苦茶上から目線じゃない!

健太のやつ、何様よ!


「それに比べて、リースの担当はいつでも会ってくれるから、通いやすいんだよね!」


「へー、須藤さんの担当さんに会うのが楽しみだなぁ!」


「細客にも優しくてさ、超いい担当なんだ!

あー、もう、好き!」


「そうなんだ!」


「じゃあ、入ろ♪」




願わくば、バリアスの誰にも会いませんように!


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