第19話

「で、一体何があったのよ?」


同僚の須藤はコンビニで買ってきたスパゲッティをフォークでくるくる絡ませる。


「久しぶりに会った幼馴染みが、ホストになってたんだ。」


お弁当のおかずをつつきながら言った。


「えっ⁉︎

何それ、すっごく面白い話しじゃない!」


須藤は興奮した様子だ。


「面白がらないでよ!

向こうの考えてることが全然分からないんだから…。」


「へぇ、その幼馴染みと何かあったんだ?」


「うん…まぁ…?

詳しくはあまりいいたくないんだけど。」


「なーんだ。

ホストになった幼馴染みが売上欲しさに、色恋でもかけてきたのかと思った!」


「色恋って…何?」


「えっ?設楽さん、知らないの?」


「知らないというより、ホストクラブが何なのか、よく分からない!」


「色恋って言うのは、ホストが擬似彼氏になって、恋人同士のように振る舞うの。恋人ごっこみたいな感じかな。

そういうのを目的に来てる人が多いんじゃない?」


「なにそれ…えっ、じゃあ、その…キスとかってするのかな…⁉︎」


「うーん…キスはしないと思うけどなぁ…

いちいち、皆んなにしてたら、唇がカサカサになっちゃうから大変だよー!」


あははっと須藤は笑う。


「でも、恋人ごっこって、そういう事もするんじゃ…?」


「その一線は超えないんじゃない?

ホストにもプライドってものがあるし。」


「じゃあ、あれは何だったんだ…。」


ななみは健太にされた行動を思い返していた。


No.1だから、お客さんも多いよね…

確かに、皆んなにキスなんてしてたら、大変な事になっちゃう!

でも、何であの時、健太はキスなんか…しかも、私達はそういう接触は無いのに!

もしかして、わたし、軽く見られたのかな?

キスしたら、楽々堕とせるって思われた?


「設楽さん、ホストクラブが知りたいなら、私、担当居るから、一緒に来る?」


「はっ?」


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