第17話
むしゃくしゃながら、バリアスを出る。
ホストって、誰にでもキスするの⁉︎
チャラ過ぎる!
あんなの、健太じゃない!
私は認めない!
それに、寂しくなんかない!
ホストなんかに慰めて貰わなくても、間に合ってるわよ!
バックを怒り任せに、引きちぎりそうになる。
「すみません!」
ななみの肩を誰かが叩く。
「はいっ⁉︎」
ななみは勢いよく振り返る。
「あー…!」
黒髪の妖艶な雰囲気を醸し出す、No.2のカルマと呼ばれた男が立っていた。
「何かようですか?」
ななみは突き放すように言った。
今のななみにとって、全てのホストがチャラい男に見えるからだ。
「先程の非礼をお詫びしたくて引き止めました。」
「えっ…?」
「あなたがケントの姫様だとは知らずに、大変失礼な態度をとってしまいました。」
カルマは謝罪の意を込め、お辞儀をする。
丁寧な態度に、ななみはしどろもどろになってしまう。
「あっ、えっと…
私はケントのお客でもなんでもないんで、気にしないで下さい!
カルマさん、顔を上げてください!」
「しかし…」
カルマは困ったように言う。
「もう、用は済んだので、いいんです。
ここに来ることは無いですから!」
「…そうですか。
でも、何かあったらいけない。
よかったら、私の番号が書かれた名刺を受け取って下さい。
相談相手にはなれますから。」
細長い綺麗な手で、名刺を差し出す。
ななみはその名刺を受け取って良いものかとあたふたする。
すると、カルマは美しい顔を少し動かし…
「安心して下さい。
私はななみさんの味方ですから。」
「え…?」
「ケントとは付き合いが長いです。
だから、私の知っている限りの情報は提供出来ますよ。」
綺麗な笑顔で言われると、何もかも信用に値すると思ってしまう。
「分かりました。」
カルマさん…なんていい人!
ホストにもこんなに礼儀正しくて良い人が居るんだ!
ななみは、少しだけ考えを改めるきっかけになった。
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