第4話

大将の計らいで、半個室風の席に案内された。


2人は席に座る。


健太は席につくと、ななみにおしぼりを渡す。


「え?」


「はい。受け取って?」


「あ…うん。」


気が利くってレベルじゃない…


何故か接待されてる気分になる!


「えっと…ななみちゃんは何かお酒飲む?」


メニュー表をななみの見えやすいようにする。


ななみは健太の気遣いにドギマギする。


昔の健太はこんな事、しなかった…。


本当に、陰キャで引っ込み思案な健太!?


健太は別人のように性格までも変わってしまったようだ。


「あ…えっと、ウーロンハイにしようかな?」


「じゃあ、俺もそれにしようかな。

ななみちゃんは何が食べたい?」


「え!?っと…あ…唐揚げ…」


「クス…ななみちゃんはここの唐揚げが好きだったもんね。」


「そ、そう!

覚えてくれてたんだ。」


「勿論だよ。

ななみちゃんの好物、覚えてるよ。」


健太はサラリと言う。


「え…」


何もかも忘れ去られているわけでは無かった……?



ななみは目頭が熱くなるのを感じる。


「ななみちゃん?」


健太はななみの顔を覗き込む。


「良かった…ちゃんと、健太だ。」


「どうしたの?」


「な、なんでもない!

さあ、注文しよう!」


「はは。」


こうして、食べ物を注文して、2人は昔話に花を咲かせる。

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