第3話

バタバタと軽くお直しをして、ななみは再び、健太の前に現れた。


「おまたせ!

じゃあ、行こう!」


「うん。」


2人はタクシーで移動し、駅前の大衆居酒屋に来た。


ここは、健太が姿を消す前に、2人でよく来た場所だった。


「懐かしいな…」


健太はぼそっと言う。


「あ…ほら、中に入ろう!」


ななみは健太の手を引き、中に入っていく。


「らっしゃい!

ななみちゃん、久しぶりだね!」


大将がななみに声をかける。


「うん、大将、久しぶり!」


「おっ!今日は格好良いイケメンと一緒じゃねぇかー!

彼氏か?」


「大将違うよ。

健太だよ!」


「あの、地味で引っ込み思案な健太!?

冗談言っちゃ駄目だよー!」


大将は訝しげに健太を見る。

その様子に、ななみはダラッと冷や汗を流す。

容姿のことを言ったら…


「大将、あの、健太ですよ。」


健太はニッコリと笑顔で答える。


「はッ!?

えー!!こりゃ、また、別人のように変わったねー!」


「はは。」


「性格まで変わっちまったみたいだな!

あ、引き止めて悪かったな。こっちの席に座ってくれ。」


「有難う御座います。」


健太は軽く会釈をする。

その行動がスマートで、ななみは目を奪われる。


健太…だよね……?


でも、やっぱりなんか、別人みたい…。


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