第71話

「大変、申し訳ございませんでした!

真広様のお客様に失礼な対応をしてしまって、ああ、どうかお許しを!」


黒服は土下座する。


「あの、気にしてないので、大丈夫ですよ。」


必死に土下座をして謝る谷川に、申し訳なさを感じる。


「えりちゃんで良かったね?」


千佳は谷川に耳打ちした。


多分、他の人だったら、半殺しなのだろう。


「あの、真広さんは?」


「今、黒天の幹部会をしてるけど…もうすぐ終わると思うよ。

谷川、えりちゃんを例のVIPルームに案内してあげて。」


「はい、ご案内いたしますね!」


ニコニコと谷川は腰を低くして案内する。


えりは谷川について行く。


「おはよーございます。

チカさーん!」


バービー人形のような目をした女が、千佳に挨拶をした。


「あっ、リリカちゃん、おはよ!

今日は早いね!」


「あの女の人、真広さんの何なんですかー?」


リリカと呼ばれた女は、スマホを扱いながら千佳に聞いた。


「えりちゃんは、結城の知人かなぁ。」


「真広さんのですかぁ?

ふーん……。

ぜってー違うだろ……。」


リリカは小さな声で言った。


「結城が呼んだみたいね〜。

何かお話があるのかなー?」


千佳は余裕のある笑みで、リリカの前から去った。


「ぜったい、あの女の正体、掴んでやる…。」


リリカは嫉妬に満ちた顔をしていた。

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