第64話
「でもさ、やっぱり、黒天の行いに、納得しない組織も出てくるわけ。
とくに、悪質な条件で女を無理やり働かせて、金儲けをしていた奴らわね。」
「そっか…」
「そう言った組織が黒天に因縁をつけてきたんだ。」
千佳さんは、真広さんには敵が多いと言っていた。
そう言うことなんだ…。
「因みに、その組織の名前って?」
「…四凶…」
「しきょう?」
「数年前から裏でコソコソ商売をしてたみたいだけど…
数ヶ月前から、ある男がトップになってから、急速に勢力を伸ばしているんだ。」
「そうなんだ…」
「奴らは冷酷非道で容赦がない…
女を薬漬けにして、逃げられないようにしてから風俗店で働かせるんだ。」
あの時、真広さんが声を掛けてくれなかったら、私も薬漬けで働いていたかもしれないと思うとゾッとする。
「えりさん、今、何を考えてる?」
「…私は、輪堂さんに言われたとおり、黒天のやっていることには首を突っ込まない。
ありがとう…今聞いたことは忘れるね。」
「そうして。
えりさんに何かあったら、俺、耐えられない。」
光はえりの手をぎゅっと握った。
「光、教えてくれてありがとう。」
光の優しさに甘えてしまった
でも、やっぱり、真広さんが心配…敵も多いって言っていたし
きっと彼は今もどこか影がある冷めた目で、世界を見ているのだろうか
もう、あの優しい穏やかな目で私を見てはくれないのかな…
1ヶ月も会っていないから、寂しい…
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