第39話

えりはベンツの助手席に乗った


それを追うように、光もベンツに乗り込んだ


車は静かに発進した


「あの…光さん、ありがとうございます。」


「光でいい…」


「あ、はい。」


光はえりを横目で見る


「えりさん、真広さんから伝言だ。

今日は忙しいから会えない、近々自宅に行く。ということだ。」


「そうなんですね…」


せっかく千佳さんと中ちゃんに綺麗にして貰ったのにな…


「ショックか?」


「え…そんな訳では…」


「素直にいいなよ…」


「千佳さんと中ちゃんに綺麗にしてもらったのに、真広さんに見て貰えないのは残念だなって思っただけです。」


光は気を使うように言う


「…真広さんに言っとく。

えりさんが残念がってたって。」


うん、優しい子だな…


えりは光を見た。


「光は黒天の人ですか?」


「そう、主に千佳さんの使いっぱしりをしてるけど」


「そうなんですか。」


「……。」


しーっんと車内が静かになる


光は喋る方ではないらしい


えりは車内から景色を見る


それを無言で光は見ていた




しばらくして、えりが住み始めたマンション前に来た


マンションの前には、アルファード車が停まっていた


2人はベンツから降りた。


「光、おせーぞっ!」


「輪堂さん、すいません…」


輪堂がイライラした様子で光に怒鳴る


「ったく、時間がねーっつうのに」


えりは輪堂の様子にびっくりしながらも、声を掛ける


「輪堂さん、こんにちわ。」


「っと…えりか?だいぶ見違えたじゃねーか」


「有難うございます。」


「千佳さんに任せとけば一発だな!

あっ、そうだ。

あんたの荷物取って来たから、早く鍵開けてくれ。」


「分かりました」


急足でえりは自分の部屋の鍵を開けた。


数人の厳つい顔をした男達が素早くえりの荷物を置いく


この人達、みんな黒天の人かな…


輪堂さんも怖いけど、この人達も怖いな…


やっぱり、危ない組織?


まだ、えりは自分の中で曖昧な答えしか出せなかった

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