第37話

「最後に会った時より、別人のようだったから、えりって分かんなかったよ!」


「康史…こんなところでどうしたの?」


えりは引きっつた笑みを浮かべる


「クライアントとここで打ち合わせをしていたんだ。」


「へー…」


「えりは…友達とお茶かな?」


「そんなところかな…」


「えりちゃん、こちらの男性は?」


千佳は探るように聞く


「1ヶ月前まで付き合っていた元カレです。」


「どうも。山崎康史です。」


康史は営業スマイルで千佳に挨拶をする


「ふーん…どうも、千佳です」


「よろしく。」


千佳にさっと目を配ると、軽いお辞儀だけする


そして、視線をえりに向ける


「えり、ここ1ヶ月何していたの?」


「まあ、色々かな…」


振られて絶望的だったと言いたい気持ちをぐっと飲み込む


「そう…俺さ、ずっとえりの事を考えていたんだ…

あんなに楽しかった時間はえりとしか過ごせなかった…

えりの愛しい顔が頭から離れないんだ…」


「康史…」


「えりがフリーなら、俺たち、もう一度やり直さないか?」


「え…」


「いきなりでビックリするよな…

考えといて…

待ってるから!」


「康史!?」


「電話するよ!」


康史は立ち去った



「えりちゃん…結城にバレないようにね…」


千佳はボソッと言った


「千佳さん!?

私、復縁するなんて言ってませんよ!?」


「そう?

今の元カレ、えりちゃんしか見てなかったね。

逃した魚が大きかったことに今更気づいたのかな?」


「千佳さん、楽しんでます?」


「べつに~。」


千佳は悪戯な笑みを浮かべた


そんな事をしていると、時刻は15時になっていた


「そろそろ行かないと…えりちゃんの迎えを呼ぶね!」


千佳はスマホで何処かに電話をかける


そして、2人で談笑しながら迎えを待つ

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