第5話

えりの行く手を男が塞ぐ


「その店はやめとけ」


「!!?」


突然のことにえりの目は真ん丸になる。


美しく鋭い切れ長の目がえりを見つめていた


「誰ですか?」


「ただの通りすがりだよ。」


「私はこのお店に入らないと生活が出来ないんです。邪魔しないでもらえますか?」


「そうですよ、おにーさん。

彼女もこう言っていますし、邪魔しないでもらえますか?」


黒服の怪しい男が突っかかる


しかし、切れ長の目をした男は冷静に言葉を返す


「このお店は確か女を激安のお金で働かせるんだったよな…」


「え?いくらですか?」


えりが言った


切れ長の目をした男はえりを見ながらいう


「お店が9割持っていくから、働いている女が実際に受け取れる金額は1時間1000円だったよな?」


黒服の怪しい男を睨んで言う


「は?デタラメ言わないでもらえますか?」


「しかも、この店…風俗店だよ。

あんた、知ってたの?」


「は…ふうぞく…てん…?」


切れ長の目の男の言葉に思考が止まる。



「あんた、可愛いのにね…勿体ない」


「ふうぞく…はは…」


職を失い、恋人に振られ、あげくに黒服の怪しい男に激安風俗に連れ込まれ、働かせられそうになる


我ながらどん底すぎてもう言葉が出てこない


「それでもいいんです。

就職活動もうまくいかないし、彼氏にも振られてもう、生きていく手段を選んでいられないんです。だから、邪魔しないでください」


泣きそうになりながらえりは切れ長の目の男に気持ちをぶつける。

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