第28話
それから、どう家に帰ったのか記憶にない。
バッグに入れたままの携帯が、何度か鳴っていたけれど、見る気にもなれなかった。
ーーー綺麗で大人っぽい女性だったな
大学のときに、恭司が付き合っていた彼女に少し雰囲気が似ている気がした。
やっぱり恭司は、ああいう人がタイプなのかなぁ。
きっと会うのが今日初めてじゃない。すごく親しげな、深い仲なんだろうと安易に想像できる雰囲気だった。
けれど。
それよりもショックだったのは。
ーーー彼女に見せた、恭司の笑顔だった。
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